オリジナルオブジェクトを作る-その4-画像作成−
αチャネル、Zバッファって何?

いよいよはオブジェクト作成のメイン・イベントである画像の作成です。
その前にエクスポートのときの、3種類の画像について、もう一度解説しておきましょう。

1つは黄色い背景のオブジェクトそのものの画像。P画像といいます。解説するまでもなく、これがゲーム中に出てくるカラー画像そのものになります。

2つ目は、αチャネル。黒い背景に白〜グレーの濃淡でかかれた画像。これはオブジェクトの透明度をあらわしています。黒いほど透明に、白ければ不透明になります。

3つ目がZバッファ。シム・オブジェクトにおけるZバッファは、白地にグレーの濃淡で描かれています。これはオブジェクトの前後関係・距離感をつかさどるデータです。手前ほど黒っぽく、奥に行くほど白っぽくなります。ただし、この部分はかなり複雑ですので今回とは分けて解説します。

αチャネルとZバッファは
「256色グレースケールで保存されていなくてはならない」
という決まりがあるので、そこもご注意を。

ところで、シムのオブジェクト画像はゲーム中で視点ごとに、また、お風呂の水位変化のようなアニメーションがあるオブの場合は、それぞれの角度から見た画像のほかに、少しずつ変化する水位の画像を、アニメのコマ割り同様1つずつ作成ます。
これがオブジェクトのiffファイルにインポートされ、ゲームの場面で必要に応じてシステムから呼び出される仕組みになっています。
また、2タイル以上で構成された画像は1タイルずつ別々に保存されます。

複数タイルのオブジェクトは、パーツごとにばらばらに作った後、さらにトラモグで距離別にも合成作業をしなくてはなりません。
アニメーションするものはさらにアニメの段階別にも合成する必要があります。
マルチ・タイルオブジェクトと呼ばれる、2タイル以上のオブジェクトが大変といわれるゆえんです。これはあとで図解で説明します。

さて、オリジナル・オブジェクトを作るとなったら、その絵を描かなくてはいけません。このとき気をつけるべきことがいくつかあります。

1つ目は、画像サイズが決まっているという点。1×1タイルあたり、横136、縦384ピクセルです。
このサイズはP、α、Z3種類とも共通です
。上記のようにマルチタイルのものはタイル数に応じたパーツに別れていて、このサイズの画像で各部分を保存することに。作成時は1枚画でもかまいません。どこで切るかは難しいですね。

2つめは、オブジェクトは斜め上からの見下ろし画像である、という点です。
もし、真正面や真上から見た図柄を作成してしまうと、ゲーム上で見たとき遠近感が統一されず違和感が出てしまいます。
特に今回はデスクやカウンターに置く菓子箱ですから、箱の角度がデスクとあまりに違っていたらちょっと・・。
では、その角度をどうやって知りましょう?

簡単な方法をひとつ。参考用にカウンターなど、単純な方形のオブジェクトの画像-いろいろ参考になりますから3番目のp、αチャネル、Zバッファ1パターン-を1つエクスポートして保存しておくことです。
角度も参考になりますし、大きさ比較もでき、何かと便利です。私の場合は前に試作した色変えカウンター画像が残っていますからそれを参考にすることにしました。
また、上方向は、もとのものよりだいぶ高くしても大丈夫です。
ルーム・セットを配布なさっているサイトさんで見かける、上に棚のあるカウンターなどはこの方法を使っているものもあります。

さて、カウンター画像と、クローン元のキャンディディスプレイ画像を参考に、角度と大きさを見ながら抹茶色の菓子箱を1つ作成しました。あとは、色を変えたものを作り、それぞれをいくつか重ねて置いてみることにしました。

この作業はお使いのペイントソフトによっていろいろやり方があるでしょう。
今回私は白背景に箱を描き、ペイントショッププロ8の、自動選択で箱をくりぬき、編集>新しい選択範囲で貼り付けを、重ねる分だけ繰り返しました。

オブジェクトのカラー画像が出来上がったところで、完成品とデフォルトの、置き換えるべきp画像を呼び出して並べます。
そ して、書き上げた画像をコピーして、レイヤーに変換、デフォルト画像の上に重ねます。ここでレイヤーに変換するのは、置いたレイヤーの透明度を変え、下の、デフォルトのキャンディディスプレイがうっすら見えるようにするためです。この状態で上においた差し替え用画像の最下部が、だいたい下のデフォルトの絵柄部分の最下部にくるように調節します。

このように重ねます。
同じでないとダメ・・というわけではないのですが、これを大幅に変えると元オブの位置情報がxmlに残っているため、トラモグで見たとき座標がずれやすいようです。
また、ある程度上下の空きでゲーム反映時のオブの位置を見ているようです。絵などだと、画像の真ん中やそのやや上にオブが描かれていますね。

重ねあわせ、位置調整が終わったところで、レイヤーの透明度を元に戻して下の画像が見えないようにし、レイヤーを全て結合します。(ほかに使用する場合は別途レイヤー画像を保存でも無論かまいません)
それから、256色に減色します。
ここは減色専用ツール(Vectorや窓の杜で使いやすいものを探してみましょう)を使ってもいいですし、ご自分のお使いのペイントソフトで満足な結果が得られるならば、それを使ってもいいでしょう。
私はPSP8の減色処理が上手く行かないことがあるので、その場合はYUKARIという、Pardieの後継のXP用減色ツールを使っています。

初めて使うからきれいに減色出来るか心配・・・という場合は、減色前のものを別に保存しておきましょう。
もし、満足のいく減色が出来なかったとき、リテイクが出来たり元のものを加工しない機能がついていればかまいませんが、そういう機能がなければ、また1から作り直しになってしまいます。
何か作成、変更する前に別名で保存というのは、手間がかかるようですが、習慣づけるようにしたほうが後々のためにもいいでしょう。使いまわしたくなったり、完成後何か手直しをしたくならないとも限りませんよ。
もっとも、私もこれを良く忘れちゃうのも事実ですが。

エクスポートのとき、1番の1ズーム画像のみを選択した場合は、いっぺんここで作業終了、トラモグを立ち上げて書き換えたオブジェクトを選択し、インポートします。
減色し忘れたり、ファイル名が間違っていたり、画像の数が違ったりしていなければ、インポートは正常に終了し、viewで作成されたオブジェクトを見ることが出来ます。大中小、角度も変えて見てみましょう。

さて、手作業でα、zバッファも作成する、3番目の設定にした場合は、まだこの両チャネル画像を作成しなくてはいけません。

αチャネルは、真っ黒で透明に、真っ白で完全不透明をあらわします。
そして、デフォルトの家具などは通常、オブジェクトの周り少しだけ、薄目のグレーで塗ってあります。
オブジェクトの周囲を幾分透明にすることで、周りのオブジェクトとの境を少しぼやかして溶け込ませるためです。

ですが、もし仕上がったものを見て、ぼけていると変だと感じるならば、オブジェクト画像の部分を全て真っ白にしてしまうのもいいでしょう。こうすると周囲とのコントラストがはっきりします。

逆に、お化け屋敷の半透明のゴースト家具にしたい!なんていう場合は白ではなくて全体をグレーで塗ることで、ぼんやりかすんだ幽霊状の家具が出来あがります。ただ、ガラスのように透明なものといっても、ガラス同士の重なりなどで、微妙に透明度が変わってきます。
均一に透明にするとなんだか違和感があるのは、普段ちゃんと反射や重なりによる不透明な部分などを、無意識に認識しているからです。ですからリアルに仕上げたいなら、αチャネルの透明感も場所別に濃淡をつけないといけません。

ガラス・テーブルや窓のような透明感を出したいものの場合も、濃い目のグレーで塗ります。反射を表現したい場合は、αチャネルの反射部分を少し白っぽくすることで感じが出せます。
また、ごく細いもの-たとえばシャンデリアの腕や、きゃしゃな花の茎など-は透明感を出してしまうと、まさに幽霊のような感じになってしまいますし、もわもわしてあまりきれいに見えないことがあります。。
ほかに淡いパステルカラーのものなども、あまりぼかさないほうがきれいに仕上がる場合もあります。

これはもうケースバイケースですから、一度インポートしてトラモグやゲーム上で見てみて、気に入らなければエクスポートして手直し・・・そうしてご自分で満足がいくような設定にすればいいでしょう。

αチャネルをすべて黒塗りにしてしまいますと、いわゆる完全透明家具が出来上がります。ただ、設置してもプレイヤーからは全く視認できなくなりますから、ある意味注意が必要です。無論シムには普通に見えますし、使用も出来ますけれど。撤去するときどこへ置いたかわからないなんてことに・・・。
このときZバッファは真っ白にしてはいけません。存在しないことになってしまいます。

そして、絵画などで、裏から見た画像をなし(背景の黄色一色に塗りつぶす)にし、αチャンネルを黒一色、Zバッファを真っ白に塗りつぶせば、後方からの画像情報一切なしという設定になりますから、後から見ると何も見えない、いわゆるバックレス仕様になります。

αチャネル画像作成については、さきに完成したカラー画像をそのまま256色グレースケールにし、オブジェクト部分だけ白く塗りつぶし、周囲を黒で塗るのが楽です。
ですがやりやすければ他の方法でもかまいません。256グレースケール設定になっていれば、ドット塗りでも無論かまわないのです。
ただし、ここで最も重要なのは、「カラー画像とα、Zバッファ画像にずれが一切ない状態でなくてはいけない」ということです。ずれると確実にオブジェクトが月食のように欠けたり黄色がはみ出したりしますからご注意を。
それと、P画像をアンチエイリアスで作成しないこと。
ぼかした部分が黄色くなります。


Trial and Errorさんの雑記に、実際にこの実験をなさった結果記事があります。画像付きで解説しておいでですから、一度ご覧になっておくとよくわかると思いますよ。

さて、次は、いよいよ最大の難物、Zバッファ前編です。

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